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ベストの100冊 [日々のキルト]

今日、金原瑞人さんのファンタジーについての講演をきいた。そして20世紀の
文学作品のベスト100についてのアンケート結果を知る。それはヨーロッパなど
に200以上の店舗をもつ本の大型チェーン(ウオーターストーン)が行ったアンケ
ートの結果だ。そこから二万五千人以上の回答が得られ、その結果は1997年
の(タイムズ・オブ・ロンドン)でも紹介されたとのこと。

それによると、10位までは�指輪物語 �一九八四年(ジョージ・オーウェル) 
�動物農場(ジョージ・オーウェル) �ユリシーズ(ジェイムズ・ジョイス) 
�キャッチ22(ジョゼフ・ヘラー) �ザ・キャッチャー・イン・ザ・ライ(サリンジャー) 
�アラバマ物語(ハーパー・リー) �百年の孤独(マルケス) �怒りの葡萄(ス
タインベック) �トレインスポッティング(アーヴィン・ウェルシュ)となっている。
もちろん英語圏に片寄っているが、それは仕方ないことなのだろう。
なお100位までのなかには、意外に子どもの本が多く、16位「たのしい川辺」
17「くまのプーさん」、19「ホビットの冒険」21「ライオンと魔女」などが登場する。
また100冊のなかでもっとも多かった作家はロアルド・ダールで、その4作は、
いずれも子供の本やファンタジー系だったとか。
そんなことからみて、20世紀後半から21世紀にかけては、子どもの本やファンタ
ジーが文学に市民権を得てきた時代といえるだろうとのこと。

ファンタジーを読む会を仲間と続けている私としては、これは興味ある話題だ。
が、たとえば私たちが今まで取り上げた吉田篤弘の作品や、これから読みたい
いしいしんじや、町田純の作品などは、(ファンタジーを指輪物語のような枠組みで
とらえると、)いったいどうなるのだろうなどと思ってしまう。もちろん読み手としては
そんな分類にこだわることはないのだが、日常と幻想の境界をこえ、あるいはすれ
すれに飛翔しながら展開される日常異化作用のある作品は、ファンタジーの方法と
して私にはとても興味がある。(それには文体の問題が微妙に絡むかもしれないが)

ファンタジーブームなどといわれて次々出版されるそれらしい大きな物語の枠の
外で、この日常と微妙に交錯し、あるいは侵し、あるい姿をくらましながら、この
窮屈で一元的ななまの現実を異化し、おもしろがらせてくれる、ユーモアとファンタ
ジーに溢れた軽業師たちを期待するのは、私だけではないだろう。

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