SSブログ

あめふらし [絵本の頁]

絵本あめふらし(絵本グリムの森�)《絵:出久根 育 訳:天沼春樹》に惹かれたのは、

もっぱら出久根育さんの絵のおかげだ。


《12の窓をもつ高い塔から国中を見渡すことのできる、ひとりの王女さまがいました。彼女は気位が高

く,誰の言うことも聴かないのです。自分のお婿さんは、千里眼の自分と勝負して、彼女の目から、すっ

かり姿を隠さなければならない、というお触れを出しました。この王女の挑戦に敗れたものは、首をはね

られ、杭に串刺しにされて、さらしものになるのです。…こうしてお城の前にはもう99本目の杭にまで男

の首が刺されました。》



 さてどんなメルヘンにもあるように、この王女さまにも100人目の求婚者があらわれて、いくつもの試練

をくぐりぬけて、めでたく王女様と結ばれることになるのですが、これがなかなか大変です。

カラス、サカナ、キツネたちに助けられて、その若者が、王女さま相手に繰り広げる駆け引きのおもしろさ

が、怖楽しい(こわくてたのしい)。ブリューゲル風の異形の風貌をもつ登場者たち。エネルギーと奇想溢

れる絵の展開に、開くたびに見入ってしまうのです。これは現実のうらがわから、もうひとつの”真実”が

窓越しにこちらをのぞいている大人の絵本です。



でもなぜ「あめふらし」がここに登場するのか、ちょっと不思議。

もしかしたら、だれの髪の毛のなかにも、アメフラシが一匹、こっそりひそんでいるのかも。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。