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うさぎ [うさぎ・兎・ウサギ]

    うさぎ                       
                         高橋紀子 

  遠い昔に うさぎは逃げた

  月は

  虚空に登りつめて

  野を走り抜けるものを

  もしや と照らしつづける


    我を忘れ

    野を駆けつづける


    地を蹴って

    出来るだけ遠くへと


    走っても

    走っても


    追いすがる

    月の光に射抜かれて


    うさぎの目は

    赤く潤む


”””””””””””””””””””””””””””””””””””””

高橋紀子さんの詩集『埋火』から転載させていただいた。
月の野原を一心に駆けていく一匹のうさぎ。うさぎはどんな罪を負っているのか。
月の光にさえ追われるものの足音…その足音が聞き取れる耳をもっているだろうか?
わたしは…。   

                          
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