ステラーカイギュウへ [詩作品]
ステラーカイギュウへ
★
かつて北極海に遊んだ
草食の人魚たちよ
その消息が絶えて
二世紀は とっくにたったけど…
ゆうべ 夢の深い水底で
海草を食んでいた あの後姿は
たしか君たちじゃなかった?
(もし あれが正夢ならば!)
君たちは 海の底へと 銛を逃れ
ながーい ながーい 夕餉のときを
のんびり 楽しんでいるんだね
ごわごわのひげ
しわだらけの皮膚をそのままに
「もう人魚のふりなんてまっぴらさ」って
ステラーカイギュウ:1741年、博物学者ステラーによってベーリング海で
発見されたジュゴンの仲間。10メートルほどにもなるが、おとなしい海牛で、
食料となり、絶滅したという。1768年に最後の1頭が殺された記録がある。
2005-05-19 22:08
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海の底にも、滅んだ生き物たちの陰の世界があって、時々、私たちの夢とつながりながら、ゆるやかな時間を流し流れているのですね。私もヒトのふりはやめて、本来のかたちに戻ってみたくなりました。
by 青森のりんご姫 (2005-05-20 16:38)